類似性にもとづく共感覚表現

共感覚表現には一定の方向性があることが知られている*1。また、近年では、視覚を鮮明さ、明度、色相に分けた理論が提案されている*2
共感覚表現には類似性にもとづくものと近接性にもとづくものがある。
この記事では、類似性にもとづく共感覚表現の方向性について検討する。
・視覚的な鮮明さから嗅覚、味覚、聴覚への転用(ぼんやりした香り、くすんだ味、透明感のある声)
・味覚から聴覚への転用(甘い音色、ジューシーな歪み)
・触覚から視覚的な明度への転用(柔らかな光、ねっとりした暗闇)
・温度感覚から色相への転用(暖色)
・視覚的な鮮明さ・味覚以外にも他のすべての感覚から聴覚への転用が可能だが、類似性の判断には歌詞の内容などの影響が顕著にみられる*3

*1:Williams1976

*2:貞光2006

*3:色相から聴覚への転用について、仲村ほか2011。